母なる大学・ボローニャ大学とTRI-Rの出会い

「未来の光とは?人にとって光とは?」ボローニャ大学 x TRI-R 対談レポート

 

2015年7月21日、ヨーロッパ最古の大学といわれるボローニャ大学(北イタリア・ボローニャ市)で、「未来の光とは?人にとって光とは?」をテーマに、次世代の光を目指して開発されたTRI-Rプロジェクトに興味をもって集まっていただいた各分野の教授・ディレクター陣、研究者の方達との対談が行われた。

 

Universita-di-Bologna_01

ボローニャ大学の精神 過去・現在・未来
「それが歴史的に有名であっても、未来を見据えた展開を続けていきいと望むなら、文化的資質と経済的実行力を備えるボローニャ大学のような大学は、スタッフの採用やキャリアモデルを適応させるべく、新しいサービスの設計や施設のリニューアルを行い、外の世界へと展開を広げながら、その研究と教育活動の社会的価値を最大限に確保していく必要がある。我々のタスクは、現在のために生産し文化的に伝承していくだけではなく、むしろまだ確かな戦略を持たないことや、まだ明確になっていない需要やニーズ、価値を理解し、予知することである。知識やノウハウは、未来に向けて我々を導いてくれるだけでなく、未来そのものの舵取りになりうる。」(ボローニャ大学パンフレットより抜粋) 

 

これが、1088年に誕生したヨーロッパ最古の母なる大学、ボローニャ大学学長イバーノ・ディオニジ教授(2015年7月現在)の示す、本大学のスタンスである。そもそも学生間で行われていた自由討論の場に、自ら基金を集め、講師となる人を選定し召喚するというかたちで行われていた活動が、徐々に組織化されていったのが大学形成の起源という。この大学のモデルは、社会とのつながりとその価値の最大化に意義を見出しながら、当大学の在籍者でもあったフランチェスコ・ペトラルカ(14Cの詩人・学者・人文学者)の残した「未来と過去を見据えて」という精神を、このようなかたちで今に継承している。

 

 

イタリアトップの複合大学・研究機関
今日では、世界から約86,000人の学生と、約2,800人の教授陣・研究者、3,000人以上のサービススタッフを集め、科学、技術、医学、人文学、社会学の5分野を探求する複合大学。教育活動のみならず、ビジネスリサーチを含め、横断的な見地から、年平均11,000件の研究論文を発表し、イタリアでトップの研究成果を誇る。

このように豊富な人材と幅広いネットワークをもち、世界のトップ機関・企業との連携をはかりながら未来を担う研究・教育活動を行うボローニャ大学の各教授陣、ディレクター、研究員の方達にとって、TRI-Rプロジェクト、また「未来の光」はどのように捉えられるのか、期待が高まった。

 

 ボローニャ大学との対話を行う中で、「光」というテーマに対して、幅広い研究分野から集まった教授陣、ディレクター、研究者の方たちから示された興味、また「光の質」の向上に対する各分野での期待の大きさに、改めてTRI-Rを通して伝え、育んでいきたいと考えている社会的意義を認識することとなった。時代を通じて使われてきた「光」というのは、大きく「自然光」と「人工光」に二分されてきたが、TRI-Rが加わることで、「第二の自然光」として、次世代の光の質に対する認識と価値が高まり、未来の環境の質の向上につながっていくことを強く願う。

 Universita-di-Bologna_02

 

Prof.ssa Carla Salvaterra/カルラ・サルバテッラ教授
ボローニャ大学 国際関係部 副総長 文化史教授

頻繁に交流を行いながら、日々新しい研究を続けているボローニャ大学にとって、TRI-Rのようなプロジェクトを知り、研究者と直接交流し関係をもつ機会は、非常に貴重であり、今後もこのような機会が持てることを期待している。

 

Dott.Giuseppe Conti/ジュゼッペ・コンティ博士
ボローニャ大学 リサーチ&技術移管部 ディレクター

Universita-di-Bologna_06

ボローニャ大学では、企業との共同研究を含め、社会活動に直接的につながる多様な研究が数多く行われているが、TRI-Rのような新しい概念をもとに未来につながる質を探求した最新技術は、ぜひ当大学での研究テーマとして取り上げてみたいと思う。

 

 

 

 

Dott.ssa Lucia Gunella/ルチア・グネッラ女史
ボローニャ大学 高等研究機関 マネージャー

当機関は、横断複合的な見地から、優秀な教授及び学生を召喚し、選定されたテーマに対して研究開発を進める高等研究機関である。テーマとしてこれまで取り上げたことのなかった「光」にスポットを当てて研究を行うことができたら非常に興味深い。

 

Dott.Matteo Cerri / マテオ・チェッリ博士
生体臨床医学・動態神経学科 基礎科学部 生理学専攻 正規研究員

Universita-di-Bologna_005

プレゼンテーションはとても興味深いものであった。メンバーを含め、この対談の機会が提案された時点から、友好的な雰囲気があり、当日もメンバーと相互的な関係を持つことができ、非常に満足している。
臨床医学の見地から、ノックアウトマウスを使ったサーカディアンリズムや睡眠が及ぼす生活への影響についての基礎研究を行っている。具体的なテーマとしては、食とメタボリズムによる睡眠への影響などを研究しているが、環境づくりにおいて、光の使い方や種類など、設置や選定の難しさを感じている。これまでは、人工照明の光源の違いによる、サーカディアンリズムへの影響の有無などは、研究において検証・比較してこなかったが、環境づくりにおいて「自然光」、「人工光」に加え、「太陽光のスペクトルと近いTRI-R」によって照射される環境をつくり、光の影響などを合わせて検証することなどができたら興味深いと考える。

 

Prof.Guglielmo Pescatore/グリエルモ・ペスカトーレ教授
音楽・演劇・映画・写真・映像学科 正教授
ビジュアルアート・パフォーマンス・メディア博士研究コーディネーター

演劇の世界においても、TRI-Rの大きな可能性を感じた。基本的に、演劇の環境においては、外部から光の影響を受けないよう、外光を遮断したかたちで室内環境がつくられるため、照明の重要度は非常に高い。しかしながら、演劇における光に対する意識や研究は未だ進んでいないのが現状であり、問題意識をもっている。光源の前で長時間演じ続けるステージ側の環境に関しても、また、その光源によって描き出される演劇を鑑賞し、劇間には、頭上から降り注ぐ無頓着な光が点灯し、興醒めしがちな観客側の環境に関しても、ボローニャ大学の施設を利用し、TRI-Rの光で劇場環境についての研究を行ってみたい。

 

Prof. Claudio Longhi/クラウディオ・ロンギ教授
演劇学科 正教授、アート学部 学部長代理

大学で演出に関する理論・歴史を専門に教えているほか、実践として各劇場で演出家としても活動を行っている。照明/光源に関しては、直接的に関わりを持つわけではないが、例えば睡眠といった日常生活への影響など、TRI-Rを通じて、これまであまり考える機会のなかった光とライフ・クオリティの関係について意識をするきっかけとなった。また実際、演出の仕事を通じて、事前にコスチュームや舞台装置の色合わせをしても、実際舞台で照明が当てられた時に、色や質感が変わってしまったという経験もあり、TRI-Rの太陽光に近いスペクトルというアプローチに大変興味をもった。学部内の劇場施設で、照明が心理的に与える影響の研究、また、現在検討されている新劇場プロジェクトにおける照明計画など、ぜひ展開の可能性を探ってみたい。

 

Dott.Gustavo Marfia/グスターボ・マルフィア博士
Dott.ssa Ines Tolic/イネス・トリック女史
ボローニャ大学 リミニ・キャンパス クオリティー・オブ・ライフ科学学科
ファッション/繊維分野 研究員

Universita-di-Bologna_003

大学としては唯一、クオリティ・オブ・ライフ科学という観点から、展示会やファッション、ファッション・テクノロジーをテーマに研究・教育活動を行う学科である。
先ほどの実演からも、(TRI-Rによる)美術館やギャラリー、ファッション分野において、芸術家や職人の手がけた歴史的な作品のオリジナルの色彩や質感の再現に関して、TRI-Rの効果は非常に大きいと考えられる。その視覚効果や作品への具体的な影響など、研究対象として興味深い。

 

 

Dott.Matteo Casari/マテオ・カザーリ博士
ボローニャ大学 ビジュアルアート・パフォーマンス・メディア学科 正規研究員
日伊文化交流機関 NIPPONICA 主催

Universita-di-Bologna_04

先ほどこの講義室にて実際にTRI-Rのもつ光のスペクトルの効果を体験する中で、TRI-Rに映し出される金色が、特に素晴らしいと感じた。ボローニャ大学の歴史的キャンパスだけでなく、自身の専門分野である演劇の世界にもぜひ導入してみたいと思った。
また、サーカディアンリズムへの研究についての話を伺ったなかで、TRI-Rのスペクトルの特性からより自然に近い環境づくりができ、ブルーライトの軽減といった特徴から、学習環境(図書館や学習室)への適応においても成果があるのではないか。さらに、白川博士の話から、ブルーライトの軽減により一時的な集中よりも、リラックスした状態(睡眠をも妨げない)での学習/読書環境づくりや、目に優しい環境づくりに寄与できるようなTRI-Rテーブルランプ等への期待も高まった。